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「貧困根絶宣言」に向けて

─── ベーシック・インカムがもたらす社会 ───

[2015.3.12]



ベーシック・インカムは可能なのか


 先般、本サイトでベーシック・インカムについて少し述べたところ、意外と反響がありましたので、今回はベーシック・インカムについて考えてみましょう。

 ネット上などでの議論を見れば、ベーシック・インカムの賛成派が多いようですが、同じ賛成でも、それぞれ様々に異なった見地に基づいています。

 一方、ベーシック・インカムに反対する人の場合は、「そんな事が出来るわけがない」という、1つの理由にほぼ集約され、それ以外に大きな反対理由は見当たらないようです。

 そこで、「ベーシック・インカムは可能だ」ということが明確になれば、反対理由のほとんどは解消すると考えて良いでしょう。


ベーシック・インカムの財源は


 ベーシック・インカムを論じる場合、決して避けて通れないのが「財源」の問題です。

 様々な論者がベーシック・インカムの財源について提案していますので、いくつか紹介しましょう。


■定率所得税案

 これは、京都府立大の小沢修司教授などが唱える方法です。

 現在の国民の所得総額(給与所得・申告所得)は約250兆円です。そこで所得税の控除を無くし、一律50%の所得税をかけた場合、約125兆円の税収が得られます。

 この場合は、全国民1億2700万人に月8万円を支給する事が可能になります。

月8万円×12カ月=96万円
96万円×1.27億人=121.9兆円

 ただしこの方法では、低所得者層の負担が大きくなるというデメリットがあります。


■累進課税案

 これは、医療科学研究所の村上慎司研究員などが唱える方法です。

 高所得者への最高税率75パーセントという累進課税の1987年当時の税率に戻し、さらに消費税率10パーセントを加えれば、約80兆円の財源を確保できるというものです。

 この場合は、全国民1億2700万人に月5万円を支給する事が可能になります。

月5万円×12カ月=60万円
60万円×1.27億人=76.2兆円


■相続税100パーセント案

 これは、起業家で評論家の小飼弾氏などが唱える方法です。

 現在の日本では、亡くなるお年寄りが使わずに遺していく財産が、年間80兆円あります。

「一生の間に使い切れなかったお金はみんなのものに」ということで、相続税を100パーセントにするならば、それだけで全国民1億2700万人に月5万円を支給する事が可能になります。

月5万円×12カ月=60万円
60万円×1.27億人=76.2兆円

「死んだら税金で全部持って行かれる」ということになれば、「お金は生きている間に出来るだけ使おう」という人も出てくるでしょうが、それはそれで景気向上に寄与することになります。


「国家改造」をもたらすベーシック・インカム


 私は、上記2つ目の「累進課税案」と3つ目の「相続税100パーセント案」を採り入れた上で、「国も働け!」と提言します。

 そうすれば、国民一人ひとりに最低でも毎月10万円以上を分配することが可能になります。

 私は、ベーシック・インカムを単なる福祉政策だとは考えていません。

 全国民を貧困から解放するという崇高な目的の為に、国が積極的に働くべきだというのが、私の根本的な信条です。

 通貨の価値は、国家の資産が担保になります。

 インフレを起こさないように多くの通貨を国民全員に配るには、通貨価値を担保する為に、国家の資産を増やさなければなりません。

 最も担保価値のある世界共通の物質は、金(ゴールド)を除けば、穀物であります。

 例えば、現在の日本には過疎の村や限界集落が増え続け、深刻な問題とされていますが、それら放棄地は国が譲り受けた上で、国営農場として蘇らせれば良いのであります。

 国内の自営農家と競合しないように、ほぼ百パーセントを輸入に依存している小麦や大豆を国が生産し、食料自給率を高め、ゆくゆくは海外に輸出が出来るくらいの生産力を目指すならば、民間の放棄地が増える事はむしろ望ましい事でもあるのです。

 こうした提案をすれば、「そのような事は民間にやらせればいいじゃないか」などと言う人が必ず出てくるのですが、道路や橋のようなインフラと同様、初期投資のコストが大きく、損益分岐点まで相当な期間を要する事業の場合、民間企業は手を出せないのです。

 数十年のスパンで展望すれば大いに利益が見込めても、最初の数年は持ち出しになるような事業は数多くあります。たとえ大企業であっても、民間企業にはそのようなリスクを取るだけの余裕が無いのが実情です。

「民間に出来る事は民間に」という命題は、裏返せば、「民間に出来ない事は国がやるべき」という意味でもあるのです。

 歴史的には諸説あれど、約二千年間、この国は農業の国として繁栄を続けてきました。

 この百年間は工業化に成功しましたが、今後は工業からも撤退する時代になります。衰退しつつある日本を再び蘇らせるのも、やはり農業であろうと思われます。

 かつて田中角栄首相の「日本列島改造論」は、全国に新幹線や高速道路を張り巡らせば、地方が繁栄して「地方の時代」が来る、などと考えていましたが、結果はその逆で、皮肉にも新幹線や高速道路によって、地方の過疎化が進行したのでした。

 昔であれば地元で農家を継いでいたような若者が、便利な交通手段のおかげで簡単に上京できるようになり、都会での生活を送るようになりました。交通が便利になればなるほど、地方から都市へと人口流出することはあっても、都市から地方へと人口流入することは、ほとんどありませんでした。

 水は高きから低きへと一方向にしか流れないものです。

 私は、真の意味での「列島改造」を実現させたいと考えています。

 日本中の過疎地や放棄地を、国を挙げて農場として再生させてゆくならば、都会から多くの若者が地方に出てゆく流れが生まれます。

 必然的に、その周辺には自ずと商店が建ち並び、新しい街が全国の各地方に次々と生まれてゆく事でしょう。

 私が構想するベーシック・インカムがもたらすものは、いわば国家改造でもあるのです。


累進課税とベーシック・インカムはワンセットで


 累進課税への反対者がよく持ち出すのが、「累進課税になると高額納税者は海外に移住してしまう」という論理です。高所得者は、日本よりも税率の低い国やタックス・ヘイヴンの国に移住して、日本には税金を払わないから、累進課税しても税収は増えない、という理屈です。

 確かに、現行の制度のまま累進課税だけを導入するならば、「こんな国には居られない」ということになるでしょう。

 一方、ベーシック・インカムによって実現されるのは、世界最大規模の経済市場であります。

 ベーシック・インカムが実施され、国民全員が多額のキャッシュを消費に回し得る超巨大なマーケットを目の前にして、そこで商売をしようとしない資本家が果たして存在するでしょうか。

 利潤極大化を追求する古典的な経済人モデルを想定したとしても、累進課税の日本に残る道を選ぶでしょう。

 累進課税制は、ベーシック・インカムとワンセットで実施された時に、最も有効性を発揮するのです。


人類史上初の「貧困根絶宣言」に向けて


 私は長年の政治活動の多くを、国際的な人権問題に関わって参りました。

 国家権力による「死」の強要や「飢餓」の強要は、誰の目にも「人権侵害」である事が分かります。

 同様に、国の経済政策の失敗によってもたらされた失業状態は、国家による「貧困」の強要以外の何物でもないはずです。

 しかしながら、国家による「貧困」の強要の場合には、ことごとく本人の「自己責任」として片付けられてしまうのです。これは極めて奇妙な事であると言わざるを得ません。

 国家が責任を放棄するならば、その責任は個人が負わざるを得ないことになります。

「人権」の定義が、「人間が人間らしく生きる権利」であるとするなら、「貧困」もまた立派な人権侵害であります。

「貧困」を根絶した国家は、これまでの人類史上に存在しませんでした。

 しかしながらベーシック・インカムは、「貧困」の問題を根本から解決します。

 かつて不可能だと考えられた天然痘根絶が実現したように、「貧困」を根絶するという世界史的偉業を実現させ、「貧困根絶宣言」を行う日まで、戦い続ける所存であります。








《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




 定款(PDFファイル)




《連絡先

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