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《 寄 稿 》

新文明構想

 大和一言主 著

『 新文明構想 』 目次













新 文 明 構 想

第 10 回

テクノロジーとの共生を



    



人工知能との共生に向けて

 今や全世界は情報ネットワークに覆われ、最早コンピューターや人工知能の発達を止める術はありません。

 確かに、人工知能の発達によって、仕事を奪われる人々が増えて失業者が溢れるのは事実ですし、得体の知れない存在によって社会が乗っ取られる事への恐怖感情も起きてくるでしょう。

 しかしながら、ここでよく考えるべきは、人工知能が人間を凌駕する「2045年問題」とは、現在EU諸国を脅かしている「移民問題」と全く同じ構造の議論であるということです。

 イスラム難民によって仕事が奪われたり、キリスト教的市民社会が破壊される事に対する市民の警戒感が所謂「移民問題」の根底にあり、それがEU諸国において政治的ポピュリズムを急速に台頭させる要因となっています。

 そして、イスラム難民を「機械」に置き換えた場合、そのまま「2045年問題」になるのです。

 たとえ難民の流入を阻止出来たとしても、人工知能の進化を阻止することは不可能です。

 むしろこれからの時代は、人間と人工知能とが、如何にすれば「共生」が可能かについて考えるべきでしょう。

 人工知能がもたらす社会は、必ずしも暗いことばかりではありません。



トランス・ヒューマニズムの潮流

 近年、オックスフォード大学のニック・ボストロム教授を中心に、人間超越主義(トランス・ヒューマニズム)が提唱されています。

 トランス・ヒューマニズムの主張は、「現在の人間の能力は、応用科学などによって改良・発展させることが出来る」というもので、人間の身体能力や認知能力をテクノロジーを使って可能な限り向上させようというものです。

 これに対し、「人間の尊厳」の立場から反対を唱える人々もいますが、トランス・ヒューマニスト達は、「人間の能力を向上させる事は人間の尊厳と矛盾しない」と反論します。

 現実問題として、世の中には義手や義足で生活している人もいれば、すでに人工臓器によって延命している人もいるわけですから、そうした人々の「尊厳」を考慮すれば、トランス・ヒューマニズムに反対する理由は見当たりません。

 技術進歩が止められないものである以上、テクノロジーとの共生については、避けて通ることは出来ない問題であります。

 例えば近い将来、パラリンピック競技がオリンピック競技よりも注目されるようになる事は十分に予想出来ます。

 生身の人間がいくら訓練しても、陸上100メートル走で5秒を切ったり、走り高跳びで10メートル以上を跳ぶことなどはあり得ない事ですが、将来のパラリンピックでは十分にあり得る事なのです。

 テクノロジーの進歩によって、一般人よりも遥かに身体能力を有するサイボーグのような人々が、パラリンピックで競い合うようになれば、いずれ視聴率はオリンピックを上回ることでしょう。

 2020年の東京大会も、こうした文明史的な展望に立って計画を立てていれば、歴史的な大会に出来るのですが、今日議論されている内容が会場問題に終始しているのは、情けない話です。

 五輪会場問題では、「レガシー(遺産)を遺す」という言葉ばかりが飛び交っていますが、正真正銘の本物の「レガシー」であったはずの神宮外苑の旧国立競技場まで壊してしまっているのですから、何の説得力も無いと言えます。

 むしろ2020年を「トランス・ヒューマニズム元年」と位置づけて、東京パラリンピックに向けて高度技術のサイボーグの開発研究に五輪予算を注ぎ込んだ方が、遥かに未来社会に多くのレガシーを遺せるはずであります。






    





























































































《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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