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FMラジオ番組
「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













香港区議会選挙に勝利した香港市民の運命は


懸念される香港の「新疆化」


[2019.12.1]




新疆ウイグルの「テロ対策施設」という名の強制収容所
PHOTO(C)REUTERS



民主派の歴史的勝利となった香港区議会議員選挙


 11月24日に投票が行われた香港区議会議員選挙は、政府への抗議デモに参加した若者らを多く擁立した民主派が、約390議席の獲得という地滑り的な大勝を収め、81パーセントの議席を確保した。

 選挙に勝利した民主派は、これまで主張してきた「5大要求」を、「香港政府は民意の前において受け入れる他にない」とし、デモ隊の鎮圧活動にあたってきた警察に対し独立委員会を設立して追及する方針を改めて強調した。

 しかしながら、香港の前途は多難であり、喜んでばかりはいられない。

 中国本土では今回の香港での選挙についてはほとんど報道されておらず、本土の一般国民は無関心である。

 中国共産党機関紙「人民日報」は、香港区議会選挙が終了した事実を伝えたのみで、獲得議席数などには触れず、「暴動を止め、秩序を取り戻す事が、香港に差し迫った最大の任務だ」などと共産党の公式見解を報じただけであった。

 香港の行方を占うという意味で注目されていた香港区議会選挙であるが、実際のところ「区議会」自体には立法権は無く、政治的影響力も限定されている。あくまで立法権は「立法会」にあり、それは親中派によって絶対多数を占められている。

 行政長官選出への影響も、行政長官を選出する1200人の「選挙委員会」の内、区議会議員が担うのは117人に過ぎず、これまで「選挙委員会」に存在した民主派の325人と合わせても、全体の半数にすら遠く及ばない。

 そもそも共産党一党独裁の中国は、民主国家とは異なり、選挙によって体制や政治が変わるような国ではない。

 本来マルクス主義の教義からすれば、「選挙」や「議会」そのものが「ブルジョア的」で「反動的」な制度なのであるから、共産党の指導によっていつでも「矯正」や「教育」の対象となるのである。

 香港市民の民意は民主派の「5大要求」支持と明確に結果が出たのであるが、むしろこれを契機に、今後は当局による香港市民への監視や管理が一層強化される事が予想される。



米国で成立した香港人権・民主主義法案


 米国では「香港人権・民主主義法案」が、10月15日には下院で、11月19日には上院で可決され、トランプ大統領が11月27日に署名したことにより、正式に成立した。

 同法は、香港に高度な自治を保障する「一国二制度」を中国が守っているかを米国政府が毎年検証し、人権侵害が確認されれば中国政府関係者らに制裁(米国内の資産凍結・渡航禁止など)を科すというものである。

 一時は米大統領による拒否権発動まで取り沙汰されていた同法案であったが、24日の香港区議会選挙において香港市民の民意が明らかにされた事を受けて、トランプ大統領が署名したものと推測される。

 一方、中国外交部は、「中国は必ず断固反撃を加え、それで生じる一切の結果は米国が負わなければならない」などと声明を発表した。

 なおその際に、「勿謂言之不預也」という言葉が用いられたが、中国当局がこの表現をする場合には注意を要すると言われる。

「勿謂言之不預也」とは、「事前に警告しなかったと言わないように」という意味である。

 歴史上この表現は、1962年の中印国境紛争、1967年の中ソ国境紛争(珍宝島事件)、1978年の中越戦争の3度の武力紛争の前に使われていたとされる。

 つまりこれは宣戦布告に等しい表現であり、この事からも、中国の本気度が読み取れる。

 少なくとも、香港の人民解放軍による武力制圧は不可避と考えられる。



昨日の新疆、今日の香港、明日の台湾、明後日は沖縄


 先般、中国の公文書の流出により、100万人以上のウイグル人が収容施設で虐待されている状況が判明した事を受け、英国政府は11月25日、国連監視団が新疆ウイグル自治区に「即時かつ無制限にアクセス」出来るよう中国政府に対し要求した。

 英外務省の報道官は、「新疆における人権状況と、中国政府の弾圧強化を深く憂慮している。特に、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人や他の少数民族の人々を、法に則らずに拘束している事を懸念している」と表明し、さらに「英国は中国に対して引き続き、国連監視団が即時かつ無制限に新疆ウイグル自治区にアクセスできるよう求めていく」と述べた。

 ウイグル人の一部が暴動を起こした事を理由に、ウイグル人全員が中国共産党による粛清の対象となり、100万人単位の一般のウイグル人達が無差別に拘束され、拷問や虐待が行われている。

 このような事態は、国際社会が決して看過してはならない問題である。

 中国当局によるこうした行為は、ジェノサイド条約(集団殺害罪の防止および処罰に関する条約)をはじめとする国際法に明確に抵触しており、国際刑事裁判所に訴追されるべき案件である。

 この新疆ウイグル問題と香港問題とは連動している。

 それぞれ中国の西と東で起きている事態であるが、いずれも中国共産党の支配下にあり、今後懸念されるのが、香港の「新疆化」である。

「昨日の新疆、今日の香港、明日の台湾、明後日は沖縄」とのフレーズが、香港市民の間で唱えられているという。

 香港警察は、2011年から毎年優秀な警察官を新疆ウイグル自治区のテロ対策施設での研修に随時派遣し、ウイグル人支配のノウハウを学ばせている。

 また香港には、深圳市との境界近くの山間部に新屋嶺(シンウーリン)拘留所という名の拷問所があり、拘留所内で「性暴力を受けた」などの告発が相次いでいる。

 香港民主派新聞の報道によると、新屋嶺拘留所に隣接する林野(東京ドーム4個分)に反テロ訓練施設の建設計画が現在進行中であり、約260億円の予算が計上されているという。

 建設予定の新施設は新疆ウイグル自治区のテロ対策施設をモデルにしており、新疆と同様、拷問・洗脳施設も併設されると言われている。

 新施設計画を立案した李家超保安局長は、新疆ウイグル自治区のテロ対策施設を視察し「大変参考になった」と語っているといい、香港市民は「反テロ訓練施設という名の強制収容所が誕生する」と恐れている。

 新施設(=強制収容所)が完成すれば、新疆ウイグルと同水準の住民統制と弾圧が、香港において本格的に開始されるものと考えられる。

 今回の香港区議会選挙の結果、香港人の多数が「反体制分子」と見做されることになれば、やがて香港人全員が中国共産党による粛清の対象となるであろう。

 香港の未来には、ウイグルやチベットと同じ悲劇が待ち受けている蓋然性が高い。

「民意」を受けて政治が変わるのはあくまで民主国家の話であって、独裁国家においては、民衆が再教育(=洗脳)されるか、殺されるだけなのである。

 国際社会は、そうした事態を阻止すべく対中圧力をかける必要がある。

 香港や新疆ウイグルに最も必要なのは「法治主義」、すなわち公正なルールと独立した司法である。

 これは国際社会がコミットすべき人権侵害に関する普遍的問題であり、内政干渉の対象外である。

 日本政府や国会議員は、中国当局に対して抗議の声を上げ、圧力をかけるべき時である。

 前にも述べたように、少なくとも習近平の国賓来日計画は、早々に白紙撤回しなければならない。

 今後、国際刑事裁判の被告になり得るような人物を、国家の賓客として迎える事は許されない。

 日本政府は、国際的責任を担うとはどういうことかを深く考慮し、人権国家としての振る舞い方を身につけるべきである。










《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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