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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













中国の「一帯一路」に警戒すべし


「パックス・シニカ」による世界秩序を企図する中国


[2018.2.18]




無抵抗のウイグル人を殺戮する中国人民解放軍
PHOTO (C) HUMAN RIGHTS


外交的迷走に陥った安倍首相


 昨年11月11日、ベトナムのダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中に開かれた日中首脳会談において、安倍首相は、中国の習近平国家主席に「第三国でも中国と協力してビジネスを展開したい。日中両国だけでなく、現地国にとっても意義がある」と、中国が掲げる経済圏構想「一帯一路」構想への支持を伝えた。

 また翌月の12月4日、安倍首相は東京で開かれた日中両国の主要企業トップが一堂に会する「日中CEOサミット」において、「アジアの旺盛なインフラ需要に日中が協力して応えることは、両国の発展だけでなくアジアの人々の繁栄にも貢献できる」、「日中の互恵的な経済関係は2国間にとどまらず大きな可能性がある」などと述べ、「一帯一路」について「大いに協力できる」と、両国の経済連携の推進に意欲を見せた。

 もともと安倍政権は、一昨年までは中国を除外したTPPの構築に向け尽力してきた。しかし、昨年成立したトランプ政権がTPPから離脱した為、やむを得ず日本政府は、米国抜きの11カ国新協定「TPP11」の発効を目指してきた。とは言っても、大国不在の経済圏には大した経済効果が期待できないのが実情である。

 米国が自国第一主義へと舵を切り、それに代わる形で中国が急速に台頭している中、「今世紀以降、日本が生き延びる道は、中国の傘下に入る以外に無い」などと、日本の行政官僚達は考え始めているのだろうか。

 確かに、今後20年以内に中国のGDPが米国を追い抜き、中国が名実ともに世界一の超大国になる事は、避けられないようである。

 こうしたグローバルなパワーシフトに直面して、「日本だけが取り残される事態は避けたい」などと、日本の行政官僚達が考えるのは必然的流れであろうが、本来「親米反中」の立場であった安倍首相までが「親中」に傾斜し始めたとすれば、由々しき問題と言える。

 一方米国では、中国の習近平政権が推進する「一帯一路」構想に対して、厳しい警戒の声が挙がっている。

 米国内においては、「一帯一路は中国の世界的な野望を推進し、中国型の非民主主義的な国際秩序を広げる危険な計画」として認識されている。

 日本政府にも、こうした冷静で客観的な状況分析能力が必要であろう。

 米連邦議会の「米中経済安保調査委員会」は、先月25日、「中国の一帯一路構想の経済的、軍事的意味」と題する公聴会を開いた。

 この公聴会では、中国の「一帯一路」構想が、「ユーラシア大陸における米国の安全保障に有害な影響を及ぼすだろう」という意見が主流を占めた。

 公聴会の証人の一人として招かれたエリ・ラトナー氏(外交関係評議会・上級研究員)は、「一帯一路」について、次のように証言している。

「これまで米国の歴代政権は、中国のユーラシアにおけるパワーの拡大を真剣に受け止めず、中国の単なる経済発展計画と捉えてきた」

「今や米国と中国は、アジア全域で戦略的な競合状態にある。その競合の結果は、今後の何十年もの国際関係での規則、規範、制度のあり方を決めることになるが、現在、米国はこの競合で必ずしも優位に立っていない。今後、中国が力を増せば、アジアでの米国主導の自由主義的な秩序が崩れ、中国式の非自由、非開放の秩序が築かれかねない」

 その上でラトナー氏は、米国が積極的にアジアに介入して中国の野望を阻止する役割を果たすべき旨を主張した。



「一帯一路」構想の本質は中国の新軍事戦略


 19世紀、欧州列強諸国は、アジアやアフリカの植民地への「資本の投下」に伴う「軍隊の駐留」と「要衝地の租借または割譲」という手段によって勢力を拡大してきた。所謂「帝国主義」の時代である。

 阿片戦争以降、約百年間にわたり帝国主義の被害者であった中華民族は、「今後は力を付けて、同じ事を全世界相手にやり返してやろう」という民族的報復感情を抱いているかのようである。

 かくして、習近平が2013年に発表した「一帯一路」構想こそ、まさに現代版の帝国主義政策プランに他ならなかった。

 現に、中国が外国への投資や債権放棄と引き換えに、港や空港の使用権を獲得するという事態が、アフリカ諸国やスリランカやミャンマーなどで発生している。これらは、紛れもなく「帝国主義」の手法そのものである。

 例えば、「一帯一路」による経済的プロジェクトの安全を確保する目的で、中国軍が国外の特定地域に派遣されたり、現地に駐留することは十分あり得る事である。また、相手国が小国であったり紛争多発地域などの場合には、相手国政府から軍の駐留を要請される可能性さえある。

 このように中国軍は、国外での基地の獲得を積極的に目指しており、「一帯一路」はこの活動を大きく促進するものなのである。

 中国軍は現在、南シナ海やインド洋での新たな基地の獲得によって、潜水艦戦力や対潜水艦戦闘能力を向上させる事を企図している。中国にとって仮想敵国であるインドに対する圧力を増大させつつ、インド洋の制海権を確保するという地政学的戦略は、「一帯一路」と並行して進められることになる。

 そうして「一帯一路」が本格的に進展した場合、ユーラシア全域にどのような秩序が形成されるかについては、チベット自治区や新彊ウイグル自治区の様相を見れば明らかである (上記画像参照)。

 あるいは、「雨傘革命」以来の香港の事態を見れば一目瞭然である。香港では、国際的な公約でもあった「一国二制度」の原則など、簡単に踏み躙られたのだった。

 中国当局が目指す国際秩序とは、これまでの米国主導による自由主義的で主権を尊重する国際秩序とは全く異なる秩序である。

 今後、「一帯一路」によって中華帝国主義の勢力下に入った地域は、従来の自由主義的な諸制度が悉く破壊され、中国本土に準じた専制的な制度が強要される事になるだろう。

 以前、中国当局が公式に宣言してきた他国の内政への不干渉政策などは、すでに放棄されたものと考えて良い。

 最近の例だけでも、中国は韓国に対して経済面でのアメとムチを使い分けながら、米国の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備を中止させようと圧力をかけた。

 またフィリピンに対しても、南シナ海での自国の領有権の主張を通すため、果物の輸入制限や観光旅行への圧力など威圧的な措置をとった。

 このようになりふり構わず、国内のみならず他の独立国に対しても恫喝的要求を迫る中国の行為は、帝国主義以外の何物でもない。

 「一帯一路」構想の根底には、中国が米国主導の安全保障体制を覆し、「パックス・アメリカーナ」に取って代わる「パックス・シニカ」の世界秩序を実現させようとする真の意図が見られる。

 日本政府は、早急に「一帯一路」への協力を撤回すべきである。











































































































































































































































































































































































































































































































《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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